アイオワ州党員集会の結果公表の遅れには有権者も戸惑いを隠せない(3日、アイオワ州デモイン)=ロイター
【ワシントン=中村亮】11月の米大統領選に向けた野党・民主党の候補指名争いの初戦である3日の中西部アイオワ州の党員集会は東部時間の4日午後3時(日本時間5日午前5時)時点で結果が発表されていない。約1700カ所の集会場から党本部への結果報告の手段に使ったアプリを集会の管理担当者が使いこなせなかったことが原因とみられる。選挙結果の正当性に疑問を生じさせる事態は党内の亀裂を生み、再選を目指すトランプ大統領を利する可能性がある。
アイオワ州民主党は4日の声明で結果発表の遅れの理由をめぐり、集会場から党本部にアプリで結果を送信した際に一部の投票データが抜け落ちたケースがあったからだと説明した。正確な投票データは残されており、全体の集計を急いでいるという。同州民主党は集計を効率化するため今回の党員集会からアプリの活用を始めた。
だが民主党の説明に反し、集会場ではアプリの利用をめぐり大混乱した様子が浮かび上がる。CNNテレビによると、ある集会の管理担当者がアプリの不具合を州党本部に問い合わせたところアプリを削除したうえで再びダウンロードするよう促された。だがダウンロードに必要なパスワードを忘れ、集会後もアプリを入手できなかった。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、党本部はアプリの使い方に関して選挙管理者に明確な指導をしていなかったという。州都デモイン周辺の管理者は先週の時点でアプリの利用を断念し、従来どおりに電話で結果報告する手法に切り替えると決めていた。当日は電話がつながりにくく、投票結果の写真を撮影して党本部に持ち込んだが受け取りを拒否されたという。
アイオワ州民主党は結果を近く発表すると説明するが、正確性に疑問の声があがりそうだ。バイデン前副大統領は3日、結果発表の遅れを踏まえて「慎重に集計してほしい」と指摘した。アイオワ州の結果は指名争いの試金石となるだけに上位に食い込めなかった候補ほど不満を持ちやすい。12年には共和党の党員集会で再集計の結果、勝者が入れ替わった事例もあった。
集計の不手際は政権奪還を目指す民主党の結束に水をさす。米メディアによると、アイオワ州民主党とそれぞれの選挙陣営の電話会議でサンダース上院議員の選挙陣営が集計の不手際に強く抗議したという。サンダース陣営は16年の同州党員集会で集計の誤りを訴えて実際に数字が修正されたことがある。
当時は最左派として異端視されたサンダース氏を当選させないため中道派のヒラリー・クリントン元国務長官が有利になるように仕向けられていたとの陰謀論が浮上。その後も中道派と左派の亀裂は埋まらずにトランプ氏の当選を許す主因の一つとなったとされる。
トランプ氏は民主党の分断をあおる。4日にツイッターで「アイオワでの民主党はめちゃくちゃだった」と酷評。集計の不手際をめぐり「いつになったら党の能力不足を認めず(16年の米大統領選に介入したとされる)ロシアへの責任転嫁を始めるだろうか」と皮肉った。民主党内の亀裂が深まるほど11月の選挙では民主党員の投票率が下がり、トランプ氏に有利に働く可能性がある。
2020-02-04 20:40:05Z
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