新型コロナウイルスのワクチン接種が日本でも始まった。医療従事者への先行接種が2月17日から進められているものの、首相官邸ホームページによると2月21日時点の接種回数は5000回あまり。昨年12月に接種が始まったアメリカで5000万回以上の接種が行われていることを考えれば、日本の遅れは明らかだ。
国内へのワクチンの輸入は第1便の40万回分に続き、第2便45万回分が2月21日に届いた。しかし、依然として数は少なく、今後のスケジュールも不明だ。6月までに全国民に必要な数量のワクチンを確保するとしていた当初の計画は、すでに破綻している。
「今後もワクチン接種は遅れる可能性が高い」と指摘するのは、国民民主党の参議院議員で医師の足立信也氏。足立氏は2009年に新型インフルエンザが流行した際、民主党政権の厚生労働政務官としてワクチンの輸入や接種を担当した。当時の経験から、政府の進め方に多くの疑念があるという。日本のワクチン接種への懸念について、足立氏に聞いた。
高齢者への接種開始時期は不明なまま
日本でファイザー社のワクチンが承認されたのは2月15日。17日からは先行接種として医療従事者約4万人を対象に接種が始まった。優先接種の対象となるのは、医療従事者約470万人、65歳以上の高齢者約3600万人、基礎疾患を抱える約800万人、それに高齢者施設への職員ら約200万人だ。しかし、2月21日時点で接種回数は5000回あまり、国内に到着しているワクチンは約85万回分に過ぎない。
ワクチンの確保や接種時期について、1月には政府内での食い違いが露呈した。ワクチン接種担当の河野太郎行革相は、6月末までに接種対象となる全国民分の確保を見込むとする政府の説明に対し、会見で「政府内の情報の齟齬がございまして、スケジュールに関する発言については修正をさせていただきます」と述べた。
さらに高齢者の接種開始時期についても、厚労省が3月下旬の見通しと説明していたのに対し「早くても4月1日以降になる」と発言。その後、高齢者の接種時期についての政府の見解は、「4月以降」に変更された。
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