2021年09月10日11時32分
【ニューヨーク時事】人を笑わせ、考えさせる独創的な研究を表彰する今年の「イグ・ノーベル賞」の授賞式が9日、オンラインで行われた。歩きながらスマートフォンを操作する「歩きスマホ」をする人が、歩行者集団に与える影響を明らかにした京都工芸繊維大学情報工学・人間科学系の村上久助教(34)らの研究グループが動力学賞を受賞した。日本人の受賞は15年連続。
横断歩道などで多数の人が行き交うときは、歩行者の集団が自然と幾つかの列に分かれる「レーン形成現象」が見られる。従来は「近づきすぎたら離れる」といった、距離に基づく数理モデルでこの仕組みを解明しようとする研究が主だったが、村上助教は歩行者の「未来の位置」に注目。学生ボランティア54人を二つのグループに分け、片方の集団の3人に歩きスマホをさせながら対面通行させ、レーン形成現象の乱れを検証した。
その結果、歩きスマホをして注意力散漫となった歩行者だけでなく、後続者や対向歩行者も歩みが詰まるなど影響を受けた。一方、歩きスマホをしないで歩かせると集団はスムーズに通行できた。
このことから村上助教は、歩行者個人が互いに動きを予想して行動する「相互予期」が、集団としての動きを円滑なものにする「集団の組織化」を促すと確認。村上助教は時事通信の取材に「受賞は驚いたがうれしい。この研究を進めることで、将来的には混雑や事故を防ぐための人流解析などに役立てることができるのではないか」と語った。
からの記事と詳細 ( 歩きスマホが集団乱す 「相互予期」でイグ・ノーベル賞―米 - 時事通信ニュース )
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