香川県の池田豊人知事と県議4人は10日、県内からの移住者との交流などを目的に、南米と北米の3か国訪問に出発した。海外派遣を巡っては、「費用が高額」との批判が集まり、県議の辞退が相次ぎ、議論を呼んだ。内容や成果について、説明責任を果たすことが求められる。
訪問団は、池田知事と県職員4人、県議会でいずれも自民党県政会所属の新田耕造議長、氏家孝志氏、白川和幸氏、里石明敏氏の計9人で構成している。
日程は19日までの10日間で、パラグアイ、ブラジル、アメリカの3か国を訪れる。パラグアイとブラジルで県人会の記念式典などに出席し、アメリカ・ロサンゼルスでは、高松市の栗林公園と姉妹協定を結んでいる庭園の訪問などを予定する。
香川県議会は7月、県議8人の海外派遣の計画を了承した。当初の計画案では、ビジネスクラスを含む航空券やエグゼクティブルームに宿泊するホテル代(1泊6万6000円)などで県議分の総額は2105万円(1人当たり263万円)と試算された。
試算が明らかになると、「県民感覚からかけ離れている」と市民らの批判が噴出し、見直しを求める署名は3万筆超が県議会に提出される事態となった。
元々は超党派の8人が参加予定だったが、国民民主党議員会や立憲・市民派ネットなどの3人が辞退。自民党県政会の1人が亡くなり、最終的に4人となった。
また、ホテルの部屋のグレードをスタンダードに見直したり、現地で業者に委託していた通訳を県人会に無料で対応してもらったりするなど費用の見直しも行われ、総額772万円(1人当たり193万円)となった。辞退に伴い、キャンセル料が発生した分は、対象の県議が自己負担する。
香川県議会の「海外派遣取扱要領」は、派遣終了後1か月以内に報告書を作成するよう定め、報告書は議会図書室やホームページで公開するとしている。新田議長は帰国後、県議が説明する場を設ける考えも示した。
市民団体「市民オンブズ香川」の渡辺智子事務局長は「成果があるというのであれば、形式的な報告書をまとめるのではなく、一人一人が報告書を提出し、公開の場で報告会を開いて、説明責任を果たすべきだ」と指摘した。
新田議長は、高松空港で出発前に報道陣の取材に応じ、「世界中で香川県に縁のある方々と長い友好を続けたいと伝えていきたい」と改めて意義を訴えた。
批判の声には「賛成も反対もある。我々議員はいろいろな意見を聞いた上でどうするか決めることが責務だ」と強調し、「議員が進んで海外に行って知見を県政に生かすことは必要」と語った。県民が納得するかを問われると「納得していただかなければならない」とした。
費用については「一般の方々から見れば確かに高い。いろいろと検討はしなければいけない」と述べた。
一方、日程に関しては行事が詰まっているとし、「自由時間も何もない。せっかく行くのだから1、2日延ばして他も見てみたり、自分のお金を出していろいろなところを見学したりしたいという気はある」とこぼした。
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