3日午後3時10分ごろ、北九州市小倉北区魚町1で「建物が燃えている」と通行人から119番があった。古い飲食店が建ち並ぶ「鳥町食道街」や、魚町銀天街付近で延焼し、大規模な火災となっている。市消防局によると、出火から約4時間半後に延焼は食い止めたが、午後10時時点で鎮火していない。人的被害の情報は入っていない。福岡県警小倉北署によると、火元とみられる飲食店の関係者からの話で「鍋から火が出た」という情報がある。
現場はJR小倉駅から南に約200メートルの商店街。鳥町食道街は太平洋戦争直後の闇市がルーツとされる。魚町銀天街から東に延びる長さ約70メートルの路地沿いに定食屋や中華料理店、ウナギ店など木造の飲食店約30店舗が密集。焼きうどん発祥の店とされる「だるま堂」などが軒を連ね、長年市民に親しまれてきた。
北九州市では2022年にも小倉北区の旦過(たんが)市場一帯で大規模火災が2回発生。消防などによると、22年4月の火災で42店舗、22年8月には47棟が焼けた。今回の現場に近い魚町銀天街でも14年2月に11棟が焼ける火災があった。
正月三が日でにぎわう中での火災に、アーケード下に店舗が連なる魚町銀天街前には規制線が張られ、多くの通行人が消火活動を見守った。延焼が広がり、銀天街内に煙が充満してくると、警察官が「危険になっています! 下がって!」と叫んだ。通行人からは「やばい、やばい」と声が上がり、炎が見えると「うわあ」と言葉を失う人もいた。
鳥町食道街にある焼きうどん店「だるま堂」店主の竹中康二さん(55)は火事の知らせを受け、駆け付けた。当時、従業員が店内にいたが、規制線の外に出るよう求められたという。「店が無事なのか不安だ。木造密集地なので一度火が出れば延焼する。旦過市場での2度の火災後、消防の指導も厳しくなり、自分たちも『3度目は起こさない』と気をつけていただけに衝撃だ」と黒煙を見つめた。
大型店や商店街、市場など計20の事業体で構成された連合組織「小倉中央商業連合会」の瀬口裕章理事長(67)は「昔からの名店が並ぶ鳥町食道街にも火が及び、驚きと悲しみしかない。一刻も早く収まってほしい」と語った。魚町銀天街の一部を構成する魚町一丁目商店街振興組合の小林康弘理事長(52)は「銀天街では最近、消火訓練をしたばかりだった。元日から、地震に航空機事故と嫌なことが続くので何もなければと思っていた矢先だ。昨日、初売りを始めたのに……」と不安そうに話した。
鳥町食道街北側にあるトルコレストラン「エルトゥールル」は午後3時に店を開けたばかりだった。当時、店内にいた店長の山本博子さんは「焦げたような臭いがしたと思ったら、商店街の人から『すぐに逃げて』と言われ、お客さん1人と一緒に店を出た。びっくりした。大きなことにならなければいいが……」と不安げに話した。店から逃げた後、しばらくは防犯カメラで店内の様子を確認できたが、その後、電源が落ちて映像を見ることができなくなったという。【成松秋穂、平野美紀、山下智恵、伊藤和人、長岡健太郎】
からの記事と詳細 ( 火元関係者「鍋から出火」の情報 北九州・魚町銀天街付近で大火 - 毎日新聞 )
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