自民党派閥の裏金事件を受けた改正政治資金規正法が成立した。裏金作りの舞台となった政治資金パーティーの透明性向上や議員の責任強化策が盛り込まれたが、政治の現場にどんな影響が及ぶのか。実務を担う秘書たちに聞いた。
政治資金パーティーは変わるか
与野党の7人の秘書が取材に応じた。秘書たちの関心が最も高いテーマは、政治資金収支報告書にパーティー券購入者名を記載する基準額の変更だ。以前は「20万円超」で、個人献金者の「5万円超」に比べて不透明なことから「企業献金の隠れみの」と指摘されてきた。2027年1月から「5万円超」に引き下げられる。
「売り文句は『20万円までなら社名が出ませんから』だった。上限が5万円になると大打撃だ」
自民党の若手秘書はこう嘆く。パーティー券購入者の大半は企業や事業者。例外なく社名の公開を避けたがるという。癒着を疑われたり、他の議員からも購入を求められたりするのがその理由だ。「企業が公開基準額の引き下げを口実にカネを出し渋るのは確実。うちの事務所運営も厳しくなる」
総務省の集計によると、政治団体のパーティー券収入の総額はこの10年ほど、コロナ期を除けば200億円前後で推移。議員らの大きな収入源となっている。秘書たちは「元々5万円以下の購入者が多いため公開基準額の引き下げによる減収は2~3割」とみるものの、「減収対策は必須」と口をそろえる。
横並びでオンライン開催?
野党のベテラン秘書は「パーティーの回数を増やすのが手っ取り早い」と語る。ホテルの宴会場などで開く従来型の立食パーティーに加えて、勉強会形式のセミナーや朝・昼食会の開催を増やすことを検討中だ。他の秘書たちも、会場費のかからないオンライン開催にしたり、1枚2万円のパーティー券を5万円にすることを考えているという。
政治資金規正法はパーティーを、人を集めた「催し物」と規定し、収入から経費を差し引いた残金を政治資金に充当できるとする。オンラインだけの開催や、極端に利益率が高いと脱法行為とみなされかねない。
自民のベテラン秘書は「どの事務所も財政事情は厳しい。法的にセーフとなれば、収益率の高いオンライン開催を横並びで始めるのではないか」と予想する一方「成功するのは知名度と政治力のある一握りの議員だけ。参加者集めと準備が大変だ」とため息をついた。
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からの記事と詳細 ( 自民派閥政治資金問題:「トカゲのしっぽ切り」なくなる? 規正法改正、秘書たちの本音 - 毎日新聞 )
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