2022年の大学入学共通テストについて大手予備校河合塾は1月16日、総評を発表した。5教科7科目(900点満点)総合での平均点は、理系で522点、文系で513点で、センター試験時を含めて過去最低になると予想されるとした。総評は次の通り。
志願者、受験者数
大学入学共通テスト(以下、共通テスト)が、1月15日・16日の両日に、全国677の会場で実施された。
確定志願者数は530,367人(前年535,245人)で、4,878人減少(前年比99.1%)。志願者数の内訳をみると、現役生は449,369人(前年449,795人)で前年度比426人減少(前年比99.9%)とほぼ前年並みであるが、既卒生等が80,998人(前年85,450人)と4,452人減少(前年比94.8%)した。
現役志願率は過去最高の45.1%となった。(令和4年3月卒業見込者のうち、共通テストに出願した者の割合)
受験者数は、外国語(リーディング)ベースで481,573人(昨年477,035人)。英語志願者での受験率は90.8%(昨年89.2%、一昨年93.1%)であり、昨年よりは回復したものの2年連続して90%前後と一昨年より低い受験率であった。
出題内容
出題傾向は昨年から大きな変化はなく、大学入試センターが示している「思考力、判断力、表現力」を問うという問題作成の基本的な考え方、各教科・科目の出題方針に概ね則った出題であった。
試行調査問題で示されていた「現代文の実用文」の出題は昨年に続き今年も出題がなかった。また昨年第2日程で出題された「連動型の問題(連続する複数の問いにおいて、前問の答えとその後の問いの答えを組み合わせて解答させ、正答となる組み合わせが複数ある形式)」は、物理基礎で出題された。
どの教科も理解の質が問われる問題となっており、身につけた基本的な知識や解法、公式の使い方などを十分に理解した上で、限られた時間の中で、文章や図表、資料などの複数テクストの内容を正しく把握し、問われている設問の意図がどこに関係するのか情報を整理し、解を導く力、様々な場面で実践的に活用できるかを問う出題となっている。扱われた資料や図表の増減は教科によって差はあるが、出題傾向としては大きな変化はなかった。資料等を含む問題分量は昨年同様に多く、全教科ともに限られた時間の中で全て解答するのは厳しかったと思われる。
共通テストの特徴である会話形式や資料読解だけでなく、思考力を問う新傾向の出題として、例えば世界史Bでは、2つの異なる見解について、そのように考える根拠を問う組み合わせ問題で、1つの事象について多角的に捉える力を問う形式や、研究・議論のための史料や根拠として適当なものを選択する形式、物理基礎ではスプーンが純金製か否かを判定するために、熱、力学、電気分野を総合的に考察する問題など、これまでにない問われ方で出題がされている。
教科・科目により強弱はあるが、センター試験と比較すると、知識や解法の暗記のみで解答できる問題は少なくなっている。しかし数学I・Aでは、センター試験時の従来型の問題が会話文形式・資料読解形式と同程度出題されており、直接的に教科学力の理解の質と活用の力を問う問題も出題されている。また日本史Bにおいても従来のセンター試験と同レベル・内容の出題が多く見られる。思考力を問う設問が減り、知識・技能を問う設問が今年は増えている。化学基礎も、従来のセンター試験の形式での出題が多かった。
共通テストの特徴的な出題形式に慣れることと併せて、各科目の学力の土台となる知識・技能の習得と鍛錬、またセンター試験の過去問演習は変わらず十分に対策はしておきたい。
受験生にとっては初見と思われる教科書に載っていない資料や実験など、昨年に引き続き出題されている。これらの問題では、資料や問題文から得られる情報と授業や教科書で学んだ既知の知識を基に関連づけ、推論、考察する力が問われている。
また時事的な出題では、生物基礎で光学式血中酸素飽和計(パルスオキシメーター)に関する問題が出題された。
大学入試センターの作成方針にあるような、「どのように学ぶか」を踏まえた問題の設定として、授業において生徒が学習する場面、日常の生活の中から課題を発見し解決方法を構想する場面、資料やデータを基に考察する場面など、学習の過程を意識した出題が昨年同様に多かった。この出題傾向は今後も継続することが想定されるので日頃の学習から意識的に取り組むこと、また日常生活や社会の出来事にも目を向けておく必要がある。
5教科7科目(900点満点)総合での平均点は、理系で522点、文系で513点で、センター試験時を含めて過去最低になると予想される。
各教科科目の分析
■2日目
■1日目
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