ロシアに対し国際社会が圧力を強めています。国連は、人権理事会におけるロシアの資格停止を決め、岸田総理も、ロシアの外交官などを国外追放すると異例の厳しい姿勢を示しました。
「ウクライナで重大かつ組織的な人権侵害」を行ったとして、国連は、人権理事会におけるロシアの資格停止を採決しました。日本や欧米諸国によって共同提案されたものです。
アメリカ、トーマスグリーンフィールド国連大使:「世界が注目しています。『国連はこの状況に対応できるのか。プロパガンダを流す舞台であり、人権侵害者の逃げ場なのか。それとも国連憲章にある崇高な理想に応える気があるのか』と。悪質な人権侵害国が国連人権理事会トップに居座るのを許さない」
採決の結果は93カ国が賛成、反対が24カ国、棄権が58カ国、無投票が18カ国。ロシアは国連人権理事会から追放される前に、自ら離脱という選択を取りました。
ロシア、クズミン国連次席大使:「残念ながら人権理事会は、短期的な目的のために利用しようとする国々に独占されている。任期終了前に理事を辞めるというロシアの決断は、人権分野での国際的な義務からの離脱を意味するものではない」
欧米各国が新たな追加制裁を打ち出すなか、岸田総理も8日、追加制裁を発表しました。
岸田総理:「ロシアに対する外交的・経済的圧力を強化いたします。第1にロシアからの石炭の輸入を禁止いたします。早急に代替策を確保し、段階的に輸入を削減することで、エネルギー分野でのロシアへの依存を低減させます。石油を含むエネルギー全体のロシア依存度の低減に踏み込む」
日本が輸入している石炭のうち、ロシアは11%を占めていて、相手国としては3番目の量です。これを段階的に減らしていき、最終的にはゼロにするとしています。
岸田総理:「8名の駐日ロシア大使館の外交官および通商代表部職員について、国外退去を求めた次第です」
ロシアの外交官と通商代表部の職員は合わせて約100人。国外退去の8人に、ガルージン大使は含まれていません。これを受け、ロシア外務省は「報復措置を取る」としています。ロシア国内の、日本の外交官の追放を検討しているとみられます。
岸田総理:「今回の事態はそもそも、すべてロシアによるウクライナ侵略に起因して発生しているものであると認識。それにもかかわらず、日本側に責任を転嫁しようとするロシア側の対応、これは極めて不当であり、受け入れることができない」
ウクライナの戦況は、この40日余りでずいぶん変化してきました。4方向から同時に侵略してきたロシア軍。首都キーウまで数キロというところまで侵攻しましたが、今はウクライナ北部からは完全に撤退しました。
ロシア大統領府、ペスコフ報道官:「わが部隊は甚大な損失を被っています。悲劇です。キーウとチェルニヒウの2地域では部隊を完全に撤退させました。それらの地域の緊張を解くために良かれと思ってしていることです」
ただ、東部での目的達成した後は、ロシア軍は再び首都攻略に乗り出すと分析されています。数週間後には激化すると言われている東部での戦闘。その兆候はすでに表れています。
ウクライナ東部クラマトルシクの駅にミサイル2発が撃ち込まれ、数十人が亡くなったと当局が明らかにしました。攻撃されたのは、リビウなどに避難する人たちの拠点になっている駅でした。ウクライナ副首相が「東部の人は早急に避難を」と呼び掛けていたこともあり、ここ数日は多くの人々がこの駅に集まっていました。
クラマトルシク市、ゴンチャレンコ市長:「10時半には、その場所に4000人の市民がいた。ロシアの占領者はそれを知り、殺そうと狙ったのだ。負傷者は100人に達している。多くは足が吹きとばされ重傷だ」
着弾した弾道ミサイルにはロシア語で「子供のために」と書かれていました。落書きの意図は分りませんが、この攻撃で39人が犠牲になっています。ウクライナ当局によりますと、そのうちの4人が子どもでした。
駅にいた人(47):「何が起きたか分からなかった。列車を待っていたら爆発音がした。みんなパニックで泣き叫んでいた。大量に出血している女性を見た。ここには女性も子どもも多くいる」
(C) CABLE NEWS NETWORK 2022
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