暴言問題で退任する泉房穂市長(59)の後任を選んだ兵庫県明石市長選は、後継候補を立てた泉氏と、自民系候補を支援した地元選出の西村康稔経済産業相(60)が激しく火花を散らした。子育て支援策で全国的に知名度がある泉氏。対する西村氏は日本維新の会にも秋波を送り、なりふり構わずに戦ったが、軍配は泉氏に上がった。
「完敗だ。全責任は私にある」。23日夜、西村氏は候補者をねぎらいつつ、自身の責任に言及した。
泉氏が後継指名した元市議の丸谷聡子氏(59)は、自民、公明両党の推薦を受けた元市議の林健太氏(40)らを破り、初当選を決めていた。
従来の市長選で関与を避けてきた西村氏だが、今回は前面に立った。泉氏から敵視された自民市議らの強い求めもあったが、地元で自身の求心力を保つ思惑も透けて見えた。
選挙戦は苦戦を強いられた。絶大な知名度を誇る泉氏に対し、明確な対立軸を示せず、打開策を考えた。その一つが躍進を続ける維新との連携だった。
自民と維新は岸田政権下で対峙するが、関係者によると、林氏側は維新の県組織に推薦を要請。維新から良い返事はなかったが、選挙戦で具現化した場面があった。
2日後に投開票を控えた21日夕、明石駅前。市議選候補者の応援で訪れた維新の馬場伸幸代表(58)に、西村氏と林氏が駆け寄り、握手した。2人を意識しながら馬場氏は声を張り上げた。「皆で力を合わせて改革のうねりを起こしていこうではないか」
この光景は偶然の鉢合わせとされた。自公推薦候補と政党対決を繰り広げていた姫路市長選の応援に向かう馬場氏への配慮もあったとみられる。
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「政党や団体に依拠せず、市民は自らまちをつくることを選んだ」。23日夜、丸谷氏の当選で沸く事務所で泉氏は、自公を念頭に勝因を強調した。
昨年10月、自身への問責決議案を巡って、自公の市議に「次の選挙で落としてやる」と暴言をはき、政治家引退を表明。だが、その後も交流サイト(SNS)での発信を続け、人気は衰えなかった。
選挙結果は丸谷氏が7万票以上を集め、林氏にダブルスコアで圧勝。昨秋に立ち上げた政治団体から出た市議選候補5人も全員が当選し、うち4人は得票の上位を独占した。
選挙から一夜明けた24日、泉氏は会見で政治団体の解散を表明。「議会に仲間を増やすために立ち上げたが、市長と議会は二元代表制。市長が一部の議員を束ねるのは本来の姿ではない。きれいに身を引きたい」と覚悟を語った。
ただ、議会と摩擦を繰り返し、県知事選に関心を示す泉氏の動向を懐疑的に見る向きもある。「市長選は序章に過ぎない」(統一選取材班)
【特集ページ】統一地方選2023
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