東京都江東区の木村弥生区長(58)陣営が今年4月の区長選期間中、木村氏への投票を呼びかける有料のインターネット広告を出した疑いがあるとして、東京地検特捜部は24日、区役所の区長室などを公職選挙法違反容疑で捜索した。同法は選挙運動目的での有料のネット広告を禁じている。木村氏は新人4人の争いとなった区長選に無所属で立候補して初当選を果たしたが、その後、区民らが同容疑で刑事告発していた。
特捜部は木村氏本人から任意で事情聴取を実施。捜索で押収した資料を分析し、解明を図るとみられる。
木村氏は8月に記者会見し、支援する政治団体のスタッフが、区長選で木村氏への投票を呼びかける有料動画広告を動画投稿サイトに出していたと認めた。木村氏側によると、広告には木村氏の画像と、「木村やよいに投票してください」との記載があり、約38万回再生された。費用約14万円は木村氏のクレジットカードで支払われていたという。
木村氏側は会見で、木村氏は4月上旬にスタッフから「ネットでの選挙運動が効果的」などと持ちかけられて「ちゃんとやってね」と応じたと説明。木村氏は「監督不行き届きだった」と謝罪していた。
2013年施行の改正公選法はネットを活用した選挙運動を解禁した。ただ、経済力に左右されない公平な選挙実施のため、候補者の氏名などを示した有料広告を掲載することは禁じている。罰則は2年以下の禁錮または50万円以下の罰金。
木村氏は同区出身。看護師などを務めた後、14年衆院選で自民党から出馬して初当選(比例北関東)。17年衆院選で再選し、総務政務官を務めた。21年の衆院選で落選していた。
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