自民、公明両党は25日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の財産保全を巡り、実務者によるプロジェクトチーム(PT)の初会合を開いた。被害者救済の進展に向け、11月中旬をめどに結論を出す方針で一致した。野党が求める法整備には、憲法違反の疑いが強いとみて慎重論が根強い。
「実効性と速やかな実施の観点から、最善の救済策を見いだしたい」
自民の萩生田政調会長は25日、国会内で開いた会合でこう強調した。PTには、自民の山下貴司・元法相ら弁護士資格を持つ議員らが参加した。
旧統一教会を巡っては、政府が解散命令請求に踏み切ったものの、教団が裁判所の判断前に、救済の原資となる資産を海外や別の団体・個人などに移すのではないかとの懸念が指摘され、財産保全のあり方が焦点となっている。
与党内では、現行制度を活用すべきだとの意見が多い。現状でも被害者が申し立てを行えば、「民事保全法」で教団財産の仮差し押さえが可能なためだ。PT座長の若宮健嗣・元消費者相は「(現行法で)足らざるところがあれば固めていく」と記者団に語った。
自民内では、民事保全の支援として、日本司法支援センター(法テラス)の態勢を強化する案が出ている。海外送金は、「外国為替及び外国貿易法(外為法)で対応可能だ」との声もある。
一方、立憲民主党と日本維新の会は、宗教法人への解散命令請求が裁判所に出された段階で、裁判所が教団財産の一律保全を命令できるようにする法案を衆院に提出した。立民は2年間の時限立法となる特別措置法、維新は宗教法人法の改正を主張している。
ただ、与党側は、教団の財産全てを保全対象とする法整備は、教団の宗教活動に多大な影響を与えるため、憲法の「信教の自由」や財産権との関係から難しいとの立場だ。請求は所管省庁だけでなく、「利害関係人」も可能なため、公明幹部は「様々な宗教法人に対して乱用される恐れがある」と懸念を示した。
立民と維新は、企業に解散命令請求が出た場合、その段階で財産保全を認める「会社法」の規定を準用している。もっとも、会社法の解散命令の要件は、役員らが刑法に触れる行為を反復した場合など、宗教法人法とは異なる。自民の法相経験者は「野党案は憲法違反のパフォーマンスにすぎない」と批判した。
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