防衛大学校では3月23日、卒業式典が行われた。岸田首相は訓示で自衛隊による抑止力の重要性を強調し、卒業生たちは恒例の帽子投げで会場を後にして、自衛官としての任命式・宣誓式へと向かった。岸田首相もその姿を笑顔で見守り拍手を送った。今年の防衛大学校の卒業生は、留学生を除き383人で、うち女性は44人。35人の任官辞退者などを除いた347人が幹部自衛官への道に進む。
岸田首相は訓示で、日本をとりまく安全保障環境について「我が国周辺においては、核・ミサイルを含む軍備増強が急速に進み、力による一方的な現状変更の圧力が高まっている。このように、我々は世界の歴史の転換期を目の当たりにしており、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境のただ中にある」と述べた。そして岸田政権における防衛力強化の取り組みについて「その重要な目標は、武力侵攻といった脅威が我が国に及ぶことのないよう、有事の発生を抑止することにある」と語った。
その上で卒業生に「防衛力の強化は、ただ自衛隊の装備を増やし、新しくするだけで実現できるものではない。防衛力の中核は、自衛隊員だ」と強調し、「任務に当たる諸君目身が防衛力の中核であり、諸君の努力が防衛力強化に不可欠であること、そして諸君の存在そのものが抑止力となることを忘れないでほしい」と呼びかけた。
さらに「自衛官となることは、社会から隔絶した存在となることではない。自衛官であると同時に、社会の一員でもあることを常に自覚し、国民としての権利を守り、義務を果たして頂きたい。そして、国民に期待され、信想される自衛官に相応しい高い規律をもって任務に当たってほしい」と語り、自衛隊に関する不祥事案件が続いていることも念頭に、コンプライアンス意識の徹底を呼びかけた。
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