大学入学共通テストの試験会場だった東京大学の前で受験生の高校生ら3人が刺された事件で、殺人未遂容疑で逮捕された名古屋市の私立東海高校2年の少年A(17)。彼が事件を起こした背景には、東大の医学部に進める理科三類への熱望と挫折があった。
高校の同級生が語る。
「そもそもAが東大理三を目指し始めたのは、高校受験で開成高、西大和学園高、ラ・サール高を受けたんですけど、全部落ちて東海しか受からなかったのが大きかったようです。入学した時から、『大学では絶対1番を目指す。日本一のところに行くんだ』と言ってました」
東海高の昨年度の東大合格者数は31人で、理三にも1人合格している。また、国公立大医学部の合格者数は93人で、14年連続全国1位の進学実績を誇る。
一方、東大の理系入試は理科一類、二類、三類に分かれ、医学部進学コースである理科三類の定員は約100人。二次試験の合格最低点は理一、理二が440点満点の230点ほどだが、理三合格には約290点が必要だ。全国の超進学校の中でも学力トップの学生が集結する、日本の大学受験の“最難関”学部である。
「Aは1年生の時の最初の実力テストで54位、2回目は15位くらいだった。この成績だと東大の他の学部や国立大の医学部にじゅうぶん合格可能です。ただ、理三合格は難しい。うちの学校でトップ5に入っていても、理三に行けるのは一人か二人です」(同前)
そこでAは、猛勉強する一方で、東大理三への推薦合格を目指し始めたという。
「クラスの誰もが嫌がる『掃除係』を1人決めることになったとき、Aが手を挙げたのです。彼は周囲に「掃除をやっていたら、先生たちからの評価が上がって、理三の推薦がもらえるんじゃないか』と話していました」(同前)
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