大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)の50代の男性運転士2人が、ひげを理由に人事評価を下げられたのは人格権を保障した憲法13条に違反するとして、市に慰謝料など計約450万円を求めた訴訟の控訴審判決が6日、大阪高裁であった。
江口とし子裁判長は、市に慰謝料など計44万円の支払いを命じた一審・大阪地裁判決を支持し、市側の控訴を棄却した。
高裁判決などによると、市交通局は2012年、橋下徹元市長が進めた市職員の服務規律の厳格化を受けて、男性職員がひげを生やすことを禁じる「身だしなみ基準」を制定。2人は上司からひげをそるよう言われたが従わず、13、14年度の人事評価は5段階で最低か、下から2番目だった。
高裁判決は働く人がひげを生やす自由について、「憲法上の権利として保障されていると認めるに足りる事情は見当たらない」と指摘。ひげに関する服務規律は、労働者の自由を侵害しすぎないといった限度で拘束力を認めるべきだとした。
そのうえで、今回の身だしなみ基準を検討。ひげが社会で広く肯定的に受け入れられているとまでは言えず、基準は「一応の必要性・合理性がある」とした一方、基準が任意の協力を求める以上の拘束力を持つことは「合理的な制限とは認められない」と判断。当時の上司が処分を示唆してひげをそるよう指導したり、ひげを人事評価の減点対象としたりしたのは裁量権を逸脱しているとして、一審判決と同様に違法と結論づけた。
大阪市は一審判決を不服として控訴。運転士側も市側の控訴を受けて控訴し、「一審判決が憲法判断を回避したのは誤りだ」などと主張していた。(遠藤隆史)
2019-09-06 06:31:00Z
https://news.livedoor.com/article/detail/17041661/
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