特に地元の福島県漁連は、政府と東京電力が2015年に「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」という方針を文書で示していたことから、地元の漁業者が理解を示す前に、政府が放出を決めたことに強い反発の声が上がっています。
これに対し政府は、風評被害を引き起こさないよう安全性への理解を全国的に拡大させること、風評被害が生じた場合でも漁業者などが事業を継続できるようにする賠償などの仕組み作りを柱とした行動計画を策定し、消費者や流通業界を含む幅広い層に安全性をPRするなどの取り組みを進めてきました。
さらに政府は福島県や周辺地域の漁業関係者を念頭に、水産物の販路拡大の支援や処理水の放出による風評被害で需要が落ち込んだ場合に、冷凍可能な水産物を買い取る事業などにあてる300億円の基金を設置したほか、全国の漁業者を対象に長期的な事業継続に向けた漁場の開拓などの取り組みを支援するため、500億円の基金を新たに設けました。
政府はこうした支援策を打ち出しながら「理解を得られるよう丁寧に説明を続ける」として、福島県を中心に漁業関係者への説明を数百回行ってきたとしています。
ただ、放出を始めるとしている夏ごろまでに理解を得られる見通しは立っておらず、難しい判断を迫られることになります。
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